楽しくかつ志を持って、精力的な活動しているシニアの方が沢山います。自分の健康と生きがいのために始めたことが、いつしか多くの方と楽しさを分かち合う活動へと広がっているのです。そんなシニアの方々の活動風景をレポートします。自薦、他薦を問いませんので、「アクティブシニアの活動紹介」に登場してくださる方をを募集しています。
梶田洋治さん 74歳
通信機メーカーを退職後、これからどのようにして生きていけばいいのか迷いの時期があったとか。とにかく何でもやってみて、自分に合うものを探すことが大事と考え「健康生きがいづくりアドバイザー」資格を取得。そこからノルディック・ウォーキング(NW)と出会い、すっかりはまってしまったといいます。
もともとスキーが趣味だったこともあり、ポールを使うこと、体の使い方が似ていることなど入りやすかったこともあるかもしれません。NWを始めることで、これまでのもやもやが全部リセットされ、地域で生きがいを見つけることができました。今でこそNWは人気のスポーツですが、当時はほとんど知られていませんでした。そこで座間市でZAMAノルディック・ウォーキング同好会を立ち上げ、普及活動に力を注ぐことになります。
健康のため、楽しいからということで始めましたが、これはいわば一人称の楽しみだといいます。同好会を立ち上げることでその楽しみは仲間と力を合わせて活動を作り上げていく二人称の楽しみとなり、さらに今はNWのイベントに集まってくれる、参加してくれる人たちに喜んでもらい、楽しさを分かち合う、そんな三人称の楽しさを味わっているのだそうです。
現在「健康生きがいづくりアドバイザー」として神奈川県を中心に中高年の活性化支援活動を行っています。老化は足からといいます。足が衰えると、家にこもりがちになり、鬱や認知症へと進む方も少なくありません。ノルディック・ウォーキングの普及活動により、家にこもりがちだった方が元気に公園を散歩するようになったそうです。その娘さんから「お母さんは元気すぎて、なんだか死ぬ気がしない」といわれたんだと嬉しそうに話してくださいました。
2009年に発足したZAMAノルディック・ウォーキング同好会では、市民参加型の講習会を年間80回ほど企画していて、1回あたり30〜50人が集まるそうです。年間の参加人数はのべ3000人ほどといいます。加えて、定期的に各地のノルディック・ウォーキングの団体が合同で自然豊かな森林公園や遊歩道などを歩くイベントも開催しています。これだけの活動をコンスタントい続けるのは、かなり大変なこと。参加者が楽しめる場所の選定、事前の下見、広報活動、100人を超える参加者がスムーズに行動できるようなスケジュール管理、安全確保など、仕事は限りなくあります。
自然の中を歩けば、さまざまな発見があり、素敵な仲間に出会えます。いくつになっても自分の足で元気に自然の中を歩き回れるようにと、梶田さんのノルディック・ウォーキングの伝道師としての精力的な活動はまだまだ続きます。
ノルディック・ウォーキングとは
北欧・フィンランド発祥のウォーキング方法で、日本では1999年に同国から北海道に持ち込まれたことがきっかけで定着していきました。両手にポールを持って歩行することで足腰への負担が軽減され、上半身の運動にも繋がります。こうした特徴からシニアを中心にブームとなり、国内では30万〜50万人の愛好家がいるとされるています。
普段何気なく行っている「歩く」という動作ですが、実は全身の筋肉や神経を総動員して行う大変な動きなのです。年を取って足腰が弱くなると、この「歩く」ということがうまくできなくなります。そこで、ポールを使ったウォーキング方法が注目されているのです。
ポールを使うウォーキングには、ポールウォーキング(PW)とノルディックディックウォーキング(NW)があります。違いは、ポールの形状と突き方にありますが、いずれも腰や膝への負担が少なく、転びにくいので、体力に自信のない人、運動が苦手な人、高齢者でも手軽に始めることができます。
PWはリハビリなどを目的に開発されたものなので、どちらかというと足腰に衰えを感じている方向きです。ポールを前方に突き、歩行に合わせて肘をまげた状態でポールを移動させます。動作はそれほど大きくなく、安定感があって4足歩行のイメージです。
これに対してNWは、クロスカントリースキーチームの夏場のトレーニングとして始まったので、比較的体力のある健康な人が郊外で行うレジャースポーツしての位置づけです。ポールを後方へ押し出す「スキーウオーク」が特徴で、全身の筋肉をたくさん刺激するので、普通のウオーキングよりエネルギー消費量が約20%も増加します。また、上半身もしっかり使うので、肩や首のコリの解消、肩甲骨の可動域の改善にも有効です。
NWの方法を梶田さんに教えていただきました。
①踏み出した足と逆の手のポールを前足と後ろ足の間の地面に軽くつきます。肱はなるべく曲げず、延ばした角度を保ちます。
②ポールをしっかり突き立て、グッと体を前に強く押し出すように前進します
③押し出した側のポールが脇を過ぎたら、後ろ側の手をグリップから離し、腕が伸びきるまでしっかりと押し出します。
体験してみると、ポールで体を押したとき強い推進力を感じて、体がどんどん前に進み、歩幅も大きくなっていくのが感じられました。NWで野山を思いっきり歩いたらさぞ爽快なことでしょう。
ノルディック・ウォーキングを始めよう!
①ダイエット
ウオーキングは有酸素運動の代表格。続けることで体脂肪が減少し、基礎代謝が高まることで、体脂肪が燃えやすい体になります。心臓肺機能を高め、血液中の善玉コレステロールを増やし、中性脂肪を減らす健康効果も実証済み。
②脳の活性化
脳のすみずみまで血液と酸素が行き渡るので、 思考力や集中力が高まり、決断力がアップします。また、記憶力が高まること、認知症予防になることも科学的に証明されています。
③老化予防
歩くことで、姿勢を支える大腿筋が鍛えられるので、姿勢がよくなり、腰痛防止につながります。また、骨密度が上がり骨折しにくくなるほか、身体のバランス感覚もよくなるので転びにくくなります。
もちろん普通のウォーキングでもよいのですが、腰や膝への負担が少なく、転びにくいNWは、シニア世代にはお薦め。初心者向けの講習会も随時開かれているので、梶田さんが所属する (社)神奈川健生ノルディックウォーキングクラブやZAMAノルディック・ウォーキング同好会に連絡してみてはいかがでしょうか?
梶田洋治さんへのメッセージを募集しています。